産地・生産者

わさびの産地とこだわりの生産者を紹介します。

こだわりを紐解くと、わさびの魅力や受け継がれてきた熱い想いが伝わってきます。

静岡県

わさび栽培発祥の地とされる静岡県は、水を利用して栽培される水わさびの根茎(すりおろして使う部分)生産量が日本一です。
静岡県では、山間地の沢に階段状のわさび田を作り、豊富な湧水を利用し、肥料を極力使わずに湧水に含まれる養分でわさびを栽培する伝統的な農業が継承されています。
2018年には「静岡水わさびの伝統栽培」が、世界農業遺産に認定されました。

伊豆

伊豆でのわさび栽培は、延享元年(1744年)に天城湯ヶ島の山守であった板垣勘四郎が、しいたけ栽培の指導者として有東木を訪れ、お礼にわさび苗を持ち帰り、天城湯ヶ島に植えたのが始まりと伝えられています。
伊豆は年間雨量3,000〜4,000ミリの天城山系を擁し、豊かな森林と清らかな水に恵まれています。水量、水温、養分ともに、わさび栽培に最適と言われています。

滝尻わさび園
  • 真妻にこだわって50年 | 滝尻わさび園
  • 滝尻わさび園
  • 〒410-3206
  • 静岡県伊豆市湯ヶ島747
  • わさび栽培農家のため販売店舗はありません。お買い求めはこちらから
  • https://amagiwasabi.base.shop

真妻にこだわって50年

伊豆湯ヶ島で滝尻わさび園を営む浅田家が、わさび栽培を始めたのは大正時代にさかのぼります。山の仕事をしながら、西伊豆町・仁科峠まで山道を片道3時間かけて歩き、わさび栽培を始めました。

その後、昭和初期に、伊豆市天城湯ヶ島の自宅の近くに豊富な湧き水を見つけ、わさび田に開墾しました。しかし、昭和33年の狩野川台風で、わさび田は水源から5mを残し消失し、わさび田の復旧までに3年かかりました。狩野川台風復興後に、真妻種を導入して以来、真妻にこだわって50年以上栽培しています。

現在は、五代目の浅田芳孝さんが稼業を受け継いでいます。先人が大切に守ったわさび栽培を世の中の変化に合わせながら次の世代へ引き継ぐために、天城山の恵みである湧き水の中で月日をかけてゆっくりわさびを育てています。三代目の妻のとみ子おばあちゃんは、今年で97歳。今日もわさびを出荷するための調整作業などを担っています。

御殿場

御殿場市と小山町を中心とした富士山周辺の北駿地区では、砂利や石の代わりに富士山の噴火によりできたスコリアを利用した北駿式のわさび田でわさびが栽培されています。
富士山からの豊富な湧き水で、2年の歳月をかけ栽培される真妻種のわさびは、知る人ぞ知るわさびのブランドです。

有東木

静岡県でのわさび栽培は、慶長年間(1596〜1615年)に、安倍川の上流である静岡県の有東木(うとうぎ)で始まったと伝えられています。
有東木のわさび田は、集落を流れる渓流に沿って階段状に並んでいます。この地域の山々は、フォッサマグナ西端に位置する「糸魚川静岡構造線」の運動によって隆起したものです。多量な降水を涵養し、わさびの生育に最適な環境を生み出しています。




東京都

東京都の最北西端に位置する奥多摩町には、広大な山々とそれを源とする無数の清らかな渓谷があり、古来よりわさびが栽培されていました。

奥多摩

奥多摩のわさびは、江戸後期に書かれた『武蔵名勝図絵』や『新編武蔵風土記稿』で、良質なわさびが奥多摩の特産品として、幕府にも献上されたことが記されています。奥多摩の渓流で栽培されるわさびは、「奥多摩わさび」と呼ばれ、奥多摩を代表する特産品の一つです。




島根県

島根県は、かつては「東の静岡、西の島根」と言われるほどのわさびの一大産地でした。
島根県の西部を流れる高津川の中上流域は古くから良質なわさびが自生する産地です。

津和野

島根県の西端に位置する津和野町では、明治時代よりわさび栽培が行われています。
津和野町は日本有数の水質を誇る高津川の流域です。高津川は、支流を含めて貯水ダムが無い唯一の一級河川です。貯水されることがないため、源流から日本海まで常に新鮮な水が流れ、さらに、広葉樹の多い安蔵寺山系から湧き出た滋養豊かな清流にも恵まれています。高津川の中上流域は古くから良質なわさびが自生する産地です。
津和野のわさびは、雪が積もる冬の寒さや沢水による水温変化など気候の厳しさから、収穫までに約2年もの期間がかかります。厳しい気候でも順調に成育する品種は他の産地のものとは異なります。きりっとした辛味に、ほのかな甘みと新緑を思わせるさわやかな香りが特徴です。粘りのある濃厚な口当たりもまた魅力です。

匹見

益田市匹見町は、島根県の西南部、広島県と山口県の県境に接した中国山地の山間部に位置し、町の90%以上が葉広葉樹などの森で占められています。
匹見でのわさび栽培は、文政元年(1818年)に始まったとされています。
昭和初期には年間300トンを産したとされ、その時期には「東の静岡、西の島根」と呼ばれるほどで、その中心が匹見でした。
匹見わさびは、標高500m以上の山の急斜面に石を積んだ渓流式わさび田で栽培されています。1970年代以降は生産量が減少し、「幻のわさび」ともよばれています。

齋藤佐登志さん
  • 齋藤佐登志さん  | 齋藤佐登志さん
  • 齋藤佐登志さん

齋藤佐登志さん

齋藤さんの家が、匹見でわさび栽培を始めたのは200年ほど前にさかのぼります。
匹見の深い森にある澄み切った渓流の中に、石を積んでつくられたわさび田は、夏でも冷涼で、冬には1m以上の雪に覆われます。そのため、ゆっくりと成長し、肉質が緻密で風味と甘みが際立ち、粘りけのあるわさびに育ちます。
古くから島根で栽培された島根在来わさびは、辛み、粘り、とくに甘みが強いといわれ、かつて関西の料亭や和食店で好まれました。この島根在来のわさびを栽培しようと取り組んでいます。




長野県

長野県は、根茎と葉柄(茎)の生産量の合計が日本一です。
長野県のわさびは、安曇野市穂高地域およびその周辺地域で大半が生産されています。

安曇野

長野県穂高町のわさび栽培は、明治初期に始まったとされています。
安曇野はかつては梨の産地でしたが、湧き水による梨の病害が多く、水はけを良くするために作った水路で、わさび栽培が始まったといわれています。
北アルプスの雪解け水が絶えず湧き出す清冽な湧水でつくられるわさび田は、安曇野特有の景観を作っています。安曇野には日本一広いわさび園があり、観光客の訪れる名所になっています。

黒岩わさび園
  • ~わさびユーチューバーの挑戦~ | 黒岩わさび園

~わさびユーチューバーの挑戦~

長野県安曇野でわさび農園を営む黒岩さんは、40年前から北アルプスの雪解け水でじっくりとわさびを栽培しています。

全国的にわさびの栽培面積が減少しており、わさびの有数の産地である長野県も例外ではありません。黒岩さんは荒廃農地の再生にも力を入れています。ミニショベル(バックホウ)をわさび田仕様に改造して作業を効率化したり、ドローンを導入し、荒廃農地の水の流れを撮影してデータ化したりと、伝統を守りつつ様々なチャレンジをしています。

これらの取り組みを主導し、YouTube「WASABI CHANNEL」で配信しているのが、代表である黒岩卓郎さんのご長男の黒岩潤一朗さん。YouTubeの登録者は5万人を超えています。今後もわさびユーチューバーの活躍に目が離せません。




新潟県

わさびの栽培には年間を通して10~15℃程度の大量の酸素を含む冷たく透き通った水が欠かせません。新潟県では、地下水をくみ上げてわさびを栽培しています。また、豪雪地帯のためハウスでわさびを栽培しています。




栃木県

栃木県では、佐野市や日光市などでわさびの栽培が行われています。
根茎の栽培に加えて、杉の林間利用やハウスでの葉わさびの栽培が増加しています。