わさびと...

わさびについて感じたことや体験など、わさび雑感を綴っています。

  • 探訪記
  • 投稿日 2024-07-01

島根わさび

わさびコラム | 島根わさび

島根はかつて「東の静岡、西の島根」といわれたわさびの産地です。
島根県の津和野と匹見を訪問し、貴重なわさび田を見学させていただきました。

島根わさびとは

1965年に出版された『石見匹見町史』によると、匹見(現在は島根県益田市匹見町)でのわさび栽培は文政元年(1818年)に始まったとされます。

昭和初期には島根県では年間約300トンのわさびが生産されていました。
その中心が匹見でした。
しかし、2022年の島根県の根茎の生産量はわずか3トン。
かつての生産量との極端な差異から「幻のわさび」と称されることもあります。

わさびコラム | 島根わさびとは

津和野のわさび

津和野

初日は津和野を訪問しました。
島根県の西端に位置する津和野町では、明治時代よりわさび栽培が行われています。

津和野町は日本有数の水質を誇る高津川の流域です。
高津川は、支流を含めて貯水ダムが無い唯一の一級河川です。
貯水されることがないため、源流から日本海まで常に新鮮な水が流れ、さらに、広葉樹の多い安蔵寺山系から湧き出た滋養豊かな清流にも恵まれています。

津和野では、もともとは渓流式でわさび栽培が行われていましたが、静岡で畳石式の築田方式を学んだ方もいて畳石式のわさび田もありました。

わさびコラム | 津和野

津和野町日野原のわさび田

郷土料理うづめ飯

初日のランチは津和野でうづめ飯をいただきました。
うづめ飯は、農林水産省の「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」にも掲載されている島根の郷土料理です。
主な伝承地域は、浜田市、益田市匹見町、津和野町などの石見地方です。

出汁をかけてわさびをそえたお茶漬けのように見えますが、ごはんの下には色々な具が隠れています。
具は地域によって異なるようです。

この食べ方の起源についてはさまざまな説が残っています。
質素倹約を強いられた江戸時代に贅沢しているのを悟られないためだとか、具材が粗末で他人に見られるのが恥ずかしかったためなどの説があるようです。

わさびコラム | 郷土料理うづめ飯

津和野のうづめ飯

日本一といわれる居酒屋

夕食は予約しておいた益田市の田吾作へ。
田吾作は、昭和42年創業の老舗居酒屋です。

益田駅から10分ほど歩くと住宅地に木造の古民家が見えてきます。
居酒屋探訪家の太田和彦さんが「日本一訪れる価値がある」と太鼓判を押したお店です。

近隣の港で水揚げされた魚を店内の水槽で活かして提供する鮮度抜群の魚が名物。
イカ刺しを注文しました。
さきほどまで泳いでたイカは身が透き通っており、コリコリした心地よい歯ざわりと甘みがゆっくり口の中に広がっていきます。

添えられていたわさびは、先ほど訪問した津和野町日野原のわさびでした。

わさびコラム | 日本一といわれる居酒屋

田吾作のイカの刺身

匹見

二日目は匹見を訪問しました。
匹見町は、島根県の南西部、広島県、山口県と境を接した町でしたが、2004年に合併し、今は益田市です。益田駅前からレンタカーで走ること1時間。
待ち合わせの場所に到着しました。

ここからさらに車で走り到着した齋藤さんのわさび沢は、森林の発する香気と清涼な沢の流れに心身が安らぐ夢のようなところでした。

齋藤さんの家では200年程前から渓流でわさびを栽培してきました。
齋藤さんは東京の大学に進学、就職し、定年後に故郷に戻られ代々継いできたわさび栽培を守っています。

わさびコラム | 匹見

齋藤さんのわさび沢の清流と森

齋藤さんは、島根在来のわさびを栽培し続けようとされています。
島根在来は昔から島根で栽培されてきたわさびで、辛み、粘り、とくに甘味が強く品質が優良と評されていました。

齋藤さんが、蒲鉾やこんにゃく、豆腐などを用意してくださり、わさびを試食しました。

齋藤さんのわさびは、広島の料亭などに収めているのだとか。
小ぶりなわさびですが、このわさびの味と風味、そしてこの素晴らしい環境に感動しました。
貴重なわさび田を見学させていただきありがとうございました。

わさびコラム |

齋藤さんのわさびを試食