わさびと...

わさびについて感じたことや体験など、わさび雑感を綴っています。

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  • 投稿日 2023-10-24

三鷹市大沢の里水車・古民家まつり

わさびコラム | 三鷹市大沢の里水車・古民家まつり

2023年10月14日(土)15日(日)に三鷹市大沢の里水車・古民家まつりが行われました。
わさび田ツアーのガイドを務めましたので、わさび田ツアーの様子をご紹介します。

三鷹 大沢の古民家

大沢の古民家は、江戸時代から同地でわさび田を経営してきた「箕輪家」の母屋として、明治35年に建てられ、約80年間利用されていました。
平成19年に三鷹市に寄贈され、平成21年に市の有形文化財に指定されました。
建物をいったん解体し、部材の9割以上を再利用して復元されています。
建物の東側にはかつてのわさび田が現存し、初夏にはホタルが現れます。

わさびコラム | 三鷹 大沢の古民家

大沢古民家の内部(三鷹市ホームページより)

三鷹大沢わさびの歴史

箕輪家のわさび栽培は、江戸時代の後期に伊勢から江戸へ仕官のために訪れたのち、箕輪家の分家を継いだ箕輪政右衛門が、大沢の豊富な湧水に触発され、郷里である伊勢の五十鈴川のわさびを取り寄せて、大沢に移植したことから始まります。
当時の江戸は、握り寿司が一世を風靡していたころ。
江戸市中に販路を開拓し、小ぶりだが味の良いわさびとして珍重されていたようです。

古民家では、かつて使われていた「箕輪山葵園」の半てんや手ぬぐい、わさび田で使った農具などを展示しています。また、当時のわさび栽培の様子や調査の成果をパネルで展示しています。

わさびコラム | 三鷹大沢わさびの歴史

古民家に展示されている半てん(三鷹市ホームページより)

貴重な在来種

大沢わさびは国分寺崖線から湧き出る大沢の湧水で栽培されていました。
しかし、戦後進んだ市街地化と道路の切り下げ工事によって水量が減少し、わさび栽培は行われなくなり、わさび田もしばらく放置されていました。

岐阜大学の山根京子先生が、残っている大沢わさびのDNA分析を行ったところ、いまや日本列島にほとんどない在来種のひとつであることが解りました。

わさびコラム | 貴重な在来種

三鷹大沢わさびの根茎(東京新聞webニュースよりhttps://www.tokyo-np.co.jp/article/92585)

貴重な環境

大沢の里は、三鷹市における農風景の源であり、里は四季の魅力にあふれています。
見学者にはお子さんも多く、わさび田にいる沢ガニを見つけて喜んでいました。

野川流域では、5月下旬から6月にかけて現在もホタルを見ることができます。
市街地化が進むにつれ一旦は激減したホタルですが、その後、農村風景やホタルを守る機運が高まりました。市民グループ「ほたるの里・三鷹村」が発足し、農薬を使わずに水田を管理した上で、ホタルが育つ環境を整えています。

新宿から電車とバスで30分ほどの場所にありながら、ホタルとわさびの原種が残るこの環境は非常に貴重であり、残されていることが奇跡的でもあります。

わさびコラム | 貴重な環境

わさび田の沢ガニ